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ジャカルタ・トピックス_Februari2017 by A.K.I 2017/02/04 17:38 |
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ジャカルタ・トピックス_Februari2017 by A.K.I 早くも、2017年も2月に突入。日本ではお正月気分もすっかり抜けた頃かと思われますが、インドネシアでは祝日となっているイムレック(春節・旧正月・中国正月)のお祝いが先日1月28日に各地の中国寺院を中心に盛大に行われ、中華系の国や地域の人々にとってはようやく新たな一年が始まったところです。 そんな多様な宗教・文化の混在するジャカルタより今年もホットな情報をお届けすべく、最近タイムリーに盛り上がっている出来事や、身の回りで実際に感じられた変化や気づきをピックアップ。ちょっぴりジャカルタの”今”を感じてみてください。 1.新年に吹き鳴らされるラッパ 日本で年越しと言えば除夜の鐘ですが、インドネシアでは皆で賑やかにラッパを鳴らすのが風習。12月も後半、西暦での年末に近づくにつれて路上に見かけるようになるのがこのラッパ売り。お正月を日本で祝いたい私は実際に吹き鳴らされている現場に居合わせたことがないのは何とも残念ですが、これらラッパが一斉に鳴らされるとなると、その賑やかさが伺い知れます。 ちなみにインドネシア全体としては、企業でも日本のように西暦の新年にかけての年末年始の長期休暇はなく、この時期に国の定める祝日は元旦と翌日の一斉休暇取得奨励日の2日間のみ。その上、航空運賃など旅費的にはハイシーズンのため、休暇を取得して一時帰国を予定している場合には9月頃からチケットを押さえておかなければならないということもあり、逆に年末年始は帰国しないという駐在者も意外といらっしゃいます。 それに続くイムレック(旧暦なので、西暦のカレンダー上では年々日が変わります)では、日本で言うところの獅子舞と類似したバロンサイが太鼓等中華風音楽に合わせて舞われ、中国寺院では真っ赤な提灯が飾られ、大きなろうそくに火がともされ、長い線香の束を持った人々が祀られている像を順に回って祈りを捧げる姿が大変印象的です。幸運を運んでくるとされる大量の雀が空に放たれたりもします。 こちらも、中国では春節期間は長期休暇となり民族大移動ともいえる帰省ラッシュが風物詩だったりしますが、インドネシアではこの日1日だけが国の祝日です。 インドネシアで帰省ラッシュが発生する長期休暇は、レバランというイスラム教徒の断食明け大祭前後で、ここは信仰者比率の多いイスラム教の風習が威力を発揮しているとも感じます。けれども、各宗教の暦と並行してビジネスはじめ実生活上では西暦のカレンダーが使われているので、新年は新年。祝い方は各国異なっていても、どの国でも新たな年を迎えるという気持ちは同じなのだなと感じます。 2.ジャカルタでのテロから1年 日本では1月17日、発生から22年経つ阪神淡路大震災の追悼式が今年も行われていましたが、ジャカルタでは昨年1月14日にサリナデパート前で起きた爆弾テロ事件の追悼式が行われました。命は救われたものの被災してまだ後遺症に苦しむ人々もいらっしゃいます。あのテロ以降もインドネシア国内ではテロ関連のニュースが頻繁にあり、昨年7月にはイスラム過激派組織の指導者サントソ氏の射殺、ソロの警察本部での自爆テロ、バリで爆薬と起爆装置入りのカバンの回収。また警戒されていたクリスマスから年末年始にかけては、12月11日に大統領宮殿を標的とした自爆テロを計画したとして反テロ法違反で関与者の逮捕、12月21日ジャカルタに住む日本人にも馴染のタンゲラン市でクリスマステロを計画し潜伏していた過激派組織のメンバーと警察の部隊が銃撃戦となり犯人を射殺・逮捕といった報道もあり、発表されている2016年中のインドネシアでのテロ摘発件数は、射殺などで死亡したテロ容疑者は33人、国家警察が逮捕した容疑者は170人といった数字で恐怖を感じざるを得ません。 悲しいことに今や世界中がテロの脅威にあり、どこにいても安全という保証はありませんが、銃撃戦や射殺などといった単語が頻繁に目に留まるこの環境は、日本から比べるとかなり異常な状況であると思わずにはいられません。表面上何事もなく日常生活が行われていますが、何か大きな音が聞こえるとドキッとしてしまうなど、どこか心穏やかでいられないテロ発生の可能性を絶えず感じます。 3.繰り広げられる選挙運動 インドネシア全国101の自治体の首長を選ぶ選挙が2月15日一斉に投開票されます。それに向けて昨年10月後半から選挙ポスターもいたるところに見られ、候補者に対するさまざまな話題が飛び交い続けています。日本と少々異なるのは、どのポスターも2人組のペアで写真があげられていること。統一地方選では、正・副首長候補がペアを組んでセットで出馬するという方式。ジャカルタ特別州知事選では3組の候補者が出馬中ですが、渦中の人物が2人。コーランを侮辱したとして宗教冒とく罪で刑事告発され宗教冒とくに当たるか否かの公判中のアホック氏。そして、副知事候補シルフィアナ・ムルニ女史(知事候補アグス氏とペア出馬)にも汚職疑惑が浮上しています。 アホック氏の件については、20万人規模のデモにまで膨れ上がった抗議運動を主導したイスラム強硬派団体イスラム擁護戦線(FPI)の代表ハビブ・リジック・シハブ代表が、今度は国家5原則パンチャシラやスカルノ初代大統領を侮辱したとして刑法違反の容疑者と認定され、またFPIの言動が統一国家の多様性を脅かすとして解散を訴えるデモが実施されるなど宗教的な対立や混乱の引き金となったようにも見え、宗教と選挙や政治は無関係とされていはいるものの、どうにもすっきり切り離せるものではないようにも感じられます。 1月27日時点で公表されている調査での各候補の支持率は、アホック氏36.7% アニス氏:28.5% アグス氏25%。宗教冒とくの騒ぎで一時低下したものの再選を狙う現職アホック氏の支持率が現状一歩リード。ジャカルタ特別州での大きな課題である洪水や渋滞対策、経済政策などについて立候補者3組による公開討論会も開かれ、近づいてくる投票日に向けて有権者の心もそろそろ固まってきている頃でしょうか。 4.唐辛子の価格高沸 インドネシア人の食卓には欠かせない辛いソース、サンバル。唐辛子やジンジャー、ガーリック、ターメリックその他土地特有の多種多様な香味野菜やスパイスがブレンドされ作られる調味料ですが、そのメイン素材である唐辛子が天候不良によりこれまでの2~3倍に値上がりしており、いつもはkg単位で購入していたのに高くて買えないなど、それを嘆く人々の声が聞かれます。どれほどインドネシアの人々にとって唐辛子が日常的に使われる必需品なのかということを実感する話題です。 また、それと時を同じくして電気やガソリンなど公共料金の価格上昇、たばこ税引き上げ、車両登録証の発行手数料も2倍以上の値上げなどが相重なり、政府に生活の逼迫を訴えるデモも発生しています。デモの威力が大きなここジャカルタにおいて、庶民の生活必需品の価格動向は、しばらく気になるところです。 5.さようならオレンジ色バジャイ 三輪車なのでその速度には限界があり、それが渋滞の原因となるとしてメインストリートには乗り入れを禁止されているバジャイ。今でも大通りを一歩逸れた住宅地その他道路では庶民の足として利用されている小回りの利くタクシーですが、上記写真2015年7月撮影時にはオレンジ色と青色がありました。その後どんどんオレンジ色バジャイを見かけなくなったと思っていたら、2016年12月をもって完全に姿を消してしまったそうです。 古くは、ガソリンで走るオレンジ色バジャイからスタートしたようですが、老朽化を機に2006年から青色バジャイヘの移行が進められていたそう。青色バジャイはガソリンではなくインドネシア国内産で環境に優しいエネルギー源である天然ガス使用といった点からも推進されていて、完全移行に10年の歳月がかかったというあたりにはインドネシアらしさを感じますが、街のアクセントとなっていたオレンジ色バジャイがもう見られないのかと思うと少々寂しい気もします。 急速に近代化の進んでいるインドネシア。今後も失われていく物事や風景がいろいろと出てくることでしょう。今当たり前のように見えている風景を引き続き写真に収めておこうと思う次第です。 6.コレクションはクラクション 年末にSNS他メディアで話題になった"オム・テロレット・オム(おじさん、クラクション鳴らして)現象"。TELOLETは、長距離バスのクラクションの擬音語です。インドネシアの大型車のクラクションがただ ”プッ、プッー!”と鳴るだけではなく、”テロリロッ!”といった感じで少々メロディーのある鳴り方がするので確かに気にはなっていましたが、通りかかる長距離バスの運転手に向かって鳴らして!と叫び、バスによって異なるクラクション音を録音してコレクションするという子供の遊びが、メディアに動画投稿されブームになったとのこと。インドネシア・中部ジャワ発で国外でも試す人が増えているとか。 ちょうど新聞などでも取り上げられていた12月末に、大型観光バスに乗ってジャワ島内を旅行していたら、我々の乗るバスに向かって子供たちが大声で叫んでいるではありませんか。あーこれか!と納得。叫ぶのみならず手書きのプラカードや、弾幕まで張ってスタンバイしていたりして、運転に余裕のある状況では運転手さんがそれに応えてクラクションサービス。音が鳴るや、冷房のため窓が締め切られているバス車内まで届くくらいに喜びの大歓声。 日本では知らないうちにPPAPブームだったようですが、何に火が付き広まっていくのやらわかりませんね。インターネット時代、世界を楽々と超えて広がっていくメディアの威力を感じます。 <まとめ> そういえば、デザインが一新された全紙幣・硬貨の流通が昨年末始まったはずなのですが、まだ新しい紙幣にお目にかかれていません。紙幣刷新一つとっても、印刷されたムスリムの女性指導者がジルバブをつけていないとか、中国人民元に似ているとか、ロゴが特定の党旗に似ているなどいろんな議論が飛び交い、この国の複雑さとそれを統一していくことの難しさが垣間見れる気がしました。 どの国でも、どんな小さな集団でも、人が集まればそれぞれの言い分があり対立が生じることはあり得ることですが、2017年、より平和な一年を願う世界の多くの人々の新年の祈りが天に届きますように。 |
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