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本音トーク!ジャカルタストレス#2 by A.K.I 2017/11/14 06:30 |
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本音トーク!ジャカルタストレス #2 by A.K.I 今回も乗りかけた船で、引き続きジャカルタストレス本音トーク第2弾!お付き合いください。前回はジャカルタにて移動・車関係でストレスと感じられる事柄をまとめてみましたが、続いてはその他日常生活におけるストレス事項を取り上げてみます。 いくら自身が慣れてきたと思っていても、どうしても傍目には、異国にいる外国人は目立ちます。だから、その差異につけこまれてトラブルに巻き込まれないように常に神経を張ってないといけません。日本人に囲まれた自国で、周囲に違和感なく溶け込んでいることがあたりまえの環境が、どれほどの安心感をもたらしていたのかということを実感します。また、日本とは比べられないくらい貧富の差の激しいこの国で、幼い子供が物を売り歩いていたり、衛生状況の整わない環境で生活を送っていたりする人々の様子を目にすることも日常茶飯事で、そんな情景も心を穏やかではなくす一因になっていると感じたりもし、ストレス要因すべてを明確にすることは難しいと改めて思ったりもします。 前回と同じく、個人の感じ方の差異もあり、異なる受け止め方をされる方もいらっしゃると思いますが、私自身とその交友関係内でよく話題にあがることを今回もピックアップします。 1.言いたいことが伝わらない 日本に帰ると、なんて楽なんだろうと思います。その第一は言葉。インドネシアの公用語はインドネシア語です。日本で普通に暮らしていてはまず接することの少ない言語です。英語であれば、少なくとも中学校・高校で習ったことが多少なりともベースになるのでまだなんとなかったとしても、同じアルファベットながら単語はことごとく異なる(外来語として似通ったものも多少はありますが)ので、まずは一苦労。 自分が言いたいことが伝わらない、伝えられない。これは実はなかなかのストレスです。自分の言いたいことのみならず、まずしょっぱなは、レストランのメニュー、商品の解説、看板に書かれている言葉、そんなものも理解できないのですから、何か大切な情報を入手しそびれているのではないかという不安な気持ちも付きまといます。 もうこれは、異国で暮らすのだからと腹をくくり、まずはインドネシア語を勉強するのが最善の策と思われます。外国語習得において、文法に並び、特に日本語にない音の聞き分けと発音、例えば”L”と”R”の発音などは日本人が苦手とするところと思われ、一生懸命伝えようとしても口頭では通じないこともしばしば。そんな時には紙に書いて渡すなど、確実に通じる方法を選択するなど、できる努力は不可欠です。そして、そんな努力をしなければ日常会話すら成り立たない環境は、やっぱりぐったりとした疲労につながってしまうということは否めません。 さらには言語の問題だけでなく、風習・文化や生活環境の違いから、日本の”常識”が通用しないという点も、意思疎通の困難さの一因になりえます。前提となる物事の考え方が根本的に違うことにより、思いもよらない応対が返ってきたりして愕然とすることもしばしばです。異国で暮らす心構えとして、その国の慣習を受け入れるとまではいかずとも、理解する姿勢は必要だとはいえ、そんなことの繰り返しがどんどん積み重なると、やはりどっと疲れを感じてしまいます。 これもご縁とこの国の人々と交流を持つこと、違いを楽しむくらいの余裕を持つことも大事だとは思うのですが、共通の環境を語り合える日本人の友人を異国で得、時には日本語で気楽に冗談も言い合える時間を持つということも、やはり必要だと思われます。 2.求む!静かな環境 日本の常識では、夜遅い時間には、周辺住民に迷惑になるような音は立てないというのが、暗黙の了解ともいえることですが、この街にはそんなルールは存在しません。とにかく、夜中だろうが早朝だろうが大音量が響き渡ります。 まずその一つは、ジャカルタ住民の8~9割がイスラム教徒であり、至る所にモスクがあることに起因します。そのモスクに360度包囲で備え付けられたスピーカーから、毎日5回、礼拝を促すアザーンが大音量で響き渡ります。ご参考までイスラム教徒の義務である、一日に5回の礼拝の名称と時間帯は以下。 Fajar:明け方から日の出まで Zohar:正午から昼すぎまで Asar:昼すぎから日没まで Maghrib:日没直後 Isha:就職前 これらは日の出・日の入りの時間に基づくので、時間は日々変化します。礼拝時間確認サイトなるものもありますが、その時間を日々アナウンスする役割を担っているアザーンは、ムスリムにとってはなくてはならないものだといえるでしょう。ですので、やめてくださいと言うわけにもいかず、どうしようもないのですが、やめてくださいと思ってしまうことはしばしば。特に日の出前、朝4時あたりに響き渡るこの声は、安眠妨害と感じなくもありません。 おそらく、アザーンが聞こえないアパートは、ジャカルタ市内どこにもないのではないかと思われますが、アパート探しの際には礼拝の時間帯前に訪れて、モスクとの距離やスピーカーの向き的に我慢できる音量であるか、いざ住んでしまうと毎日のことですので、一度確認しておくのがお勧めです。 さて、ベースにこのアザーンがあるからか、街中で大音響を鳴り響かせるということにこの国の人々は抵抗が全く無いと見え、特に金曜・土曜の夜は結婚式などなんらかのお祝いごとがあるのか、近隣の集落で深夜まで大音量の音楽が屋外特設ステージで奏でられることもしばしばです。上の写真は、もう夜中の12時近く。夜も更けた暗がりで、写真もブレが激しく申し訳ないですが、周囲の睡眠時間などおかまいなしでレーザー光線を走らせ盛り上がる会場、ご想像いただけるでしょうか?盛大なお楽しみに水を差す気は無いのですが、やっぱり日本人的感覚に照らすと、周囲への配慮が全くない大音響は理解を超えていて、ストレスの一つと感じざるを得ません。 3.体調管理の難しさ これはもう、厳しく自己管理をするしかないわけですが、この環境において体調を良いコンディションで維持するのはなかなかハードルが高いと感じます。まずは、クーラー病とでもいうべき気だるさと冷え。日中の外はうだるような暑さ(雨季の昨今、朝夕は比較的涼しいですが)だというのに、建物の中(オフィスビルやモールなど富裕層(外国人も含む)エリア)に入ると限度を知らない冷え具合。この常夏の街で、長袖の上着など羽織るもの、さらには、外ではサンダル履きだけど室内用にとソックスを持ち歩くという人もいるくらい。冷えからくる腹痛対策に簡易腹巻も有効だったりします。 そして、車生活による運動不足。万歩計をお持ちであれば、日本での日常と比較して一日の歩数の少なさに唖然とするでしょう。定期的にゴルフに行くという人はまだしも、強い意志をもって時間を確保しなければ確実に運動量は激減します。運動するには、この暑さと大気汚染の具合から、どうしてもジムなど室内になってしまうので、屋外派は週末に郊外に足をのばすしかありません。日常生活だけでも、この空気の悪さで咳など気管支系のトラブルを抱えている人が多いと、病院関係者からも聞きましたので、健康のための運動が逆効果にならないよう要注意です。 さらには揚げ物中心の料理。ずんぐりむっくり体形まっしぐら!という人が大勢。かと思えば、辛い料理が多すぎる、油が合わない、水が合わない、などの原因で、外食時には和食店に行ったとしても、さらには自炊をしていたとしても絶えずお腹をこわし、げっそりしている人も大勢。生活の基本である食生活がマッチしないというのは、なかなか厳しいです。 日本の食材が比較的入手しやすくなったといえど、こちらで売られているものは日本での倍くらいのお値段だったり、やはり鮮度は求められず、また特に日本酒・焼酎などのお酒は売値は日本の3~4倍もして、ストレス解消法が飲酒というお酒好きには、悩ましいかぎりです。 4.四季のない単調さ かつて、渡航が決まったことを友人に話したのはまだ寒い冬のこと。「わぁいいなぁ、常夏!絶対いいわ、寒いより暑い方が。」気楽にそう言っていた彼女に、日本の夏に帰国し会ったら、「もう暑くて暑くて外に出る気がしない。」とおっしゃる。暑い夏というのは、憧れもあれど、やはり生活するには過酷さもあるのです。 暑い状態がずっと続くということ以上に、常夏とはこういうことなのね、と1年を暮らせば思います。そしてこの先、ずっとこうなのね。ということに溜め息。多くの方が同様のことをおっしゃるので、これはもう、日本という四季に恵まれた環境で育ってきた長年の間に染みついている感覚なのでしょう。暑い夏の後には台風の季節などもありつつ、目にも鮮やかな紅葉と秋の味覚を楽しみ、肌寒くなってきた空気にほんわか温かい衣類をまとい、雪に悩まされたりもしつつも、人々と集って暖を取る。そして、梅の花に始まりどうにも心浮きたつ桜の咲き誇る花の季節へと移り変わり、青葉の季節、梅雨を経てまた暑い夏がやってくる。 そんな変化の中には刻々と変わりゆく情景への楽しみが常にあったのに、常夏の一年はなんとも単調なのです。 時にはなんだか、ここだけ時間が止まってしまっていて、取り残されてしまっているのではないかというような錯覚を引き起こします。日常の出来事は、その時の空気感と共に記憶されるものですが、あの寒かった冬の日、などということもないので、すべてがあの暑かった夏の日となってしまい、時間の位置づけに掴みどころなく、なんともあやふやな不安定な気分を味わいます。 そんな、暑くて記憶さえぼんやりしてしまう日々に思うことの一つ。寒い所へ行きたい。もちろん、エアコンが効いた人工的空間ではなく。 5.揺らぐ気持ち 最後に、具体的には、夫の赴任に伴い自身の仕事を手放して帯同家族としてやってきた妻の立場をピックアップします。何年も携わってきた自身の仕事を辞めたくはないけれど、飛行機で片道7時間という未知の国に行く夫と離れての生活を選ぶのも悩ましく、共に渡航をする決断を下すまでにも大いに悩んだ末、最終的結論としてジャカルタにやってきたというケース。共働きで子供を持たない夫婦は、現代では珍しくない家族構成であるので、そういった人は思いの外たくさんいます。 夫の就業ビザに付随する家族ビザでの入国では、この国で仕事を持つことはできません。覚悟してきたつもりだったはずが、直前まで毎日会社勤めをしていた環境からは想像もつかないくらいに、いきなり使い切れない程の空白の時間が延々と続くという事実に直面し、愕然とします。何かせねばと焦ります。仕事をしていた時には、あれこれやりたいこともあったはずなのに、忙しい最中に息抜きとなる趣味だからこそ楽しかったのであって、それだけをやっていても良いといわれても、又は環境が整っていたからこそできたのであって、ここで一からとなると難しく、というケースもあったりするでしょう。これまでの自分の柱が無くなってしまい、無駄に時間が過ぎていくこと、やりがいを感じられない日々に、少々後悔の念も沸いてしまいます。夫は渋滞にのまれ朝早くから夜遅くまで仕事に行ったっきり。週末はゴルフに行ってしまう。何のために仕事を置いてまで来たのだろうと、時には存在意義を考えてしまったりもします。 来てすぐは、モールをうろうろしたり、博物館に行ってみたり、とにかく何かを得ようと動き回るものの、正直なところジャカルタで行きたいと思えるところはそんなに多くはありません。そうこうするうちに多くの場合、帰国後インドネシア語を使う機会は果たしてあるのだろうかと思いつつも、語学をはじめとする習い事か、ボランティア活動に参加するといったところに落ち着きます。それでも、結局はいつかは帰国する数年限定の立場で、どこまで深入りして良いものやらと悩んだりもします。子供がいるという場合には、異国での子供の生活のケアその他、学校の行事や塾の送り迎えなどで忙しかったりもするようですが(その立場でのまた異なるストレスは、当事者でないので把握しきれず、申し訳ありません)、夫婦のみで一人の時間が多くなる場合には、いかに自身の気持ちに折り合いをつけ、納得できる時間を過ごし、心を健全に保っていけるかということが、想像以上に大きな課題であると感じられます。 異国での生活は、トータルの人生で見た場合、なかなか経験できない貴重な時間を過ごしたと言えるに違いありませんが、それが、ある程度の歳月をかけてこれまで自国で積み上げてきたものへの喪失感を上回るものであることを、願うばかりです。 <まとめ> 旅行であれば、何か困った事態が発生しても、日本の日常から離れた限られた数日間をやり過ごせればよいわけで、ハプニングさえもむしろ異文化体験としてよい思い出の一つになるかもしれません。けれども、その環境で日常生活を送るとなると、そういうわけにはいきません。水道のお湯が出ない。そんなことは旅行であれば一時の我慢でしょう。けれども住むとなると、言葉も不十分な中、業者を呼んでやりとりをして修理をしてもらわなければなりません。そこでもまず、時間通りに担当者が来ない、持ってきた部品が全く型に合わない、部品の納品時期がいつまでたっても確定しないなど、一つの物事の完了に、この国では日本ではありえないくらい時間がかかったりもするのです。 2回にわたって書き出したくらいでは、紹介しきれないくらい、いくらでも細かなエピソードは出てきますが、この国で生活していかなくてはならないのですから、不満ばかりも言ってられません。でも、ストレスもためこみすぎるのは絶対によくありません。何に対して自分がストレスを感じているのかを明確にすれば、解消策に気付けることもあったりするのではないかとも思い、2回にわたるこの記事が、何か少しでも気持ちの張りを和らげる一助になればと思う次第です。 |
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