身近にあり得る危ない話 in ジャカルタ
by A.K.I
異国に滞在するとなると、やはり気になるのは治安など住環境について。ジャカルタ生活を始めてすぐの頃は、失礼ながら周りの人は全て悪人!くらいの勢いで私も周囲を警戒していましたが、すっかりジャカルタの環境に慣れてしまった昨今、そんな警戒心が緩んできたなぁと思い始めていた矢先に、なんだかここ最近立て続けに身近で被害に遭遇した友人の話が耳に入ってきたので、脅すわけではありませんが渡航予定の皆様に注意喚起と、すでに滞在が長い方にも初心を取り戻していただくべく身近な危機事例をご紹介します。
1.携帯電話が狙われる!!
「先日、モールのレストランで食事中に携帯電話を盗まれて...」と、話始めたのはそろそろジャカルタ滞在1年経とうかという友人。そのモールというのが、なんと日本人もよく利用する高級モール。状況をよく聞くと、ファスナーや蓋となるカバーが付いていない上部がオープンなカバンに、食事前に何気なく携帯電話を入れてしまい、鞄を背中側に置いて食事をしていてふと見た時にはもう携帯電話が無かったのだそう。
携帯電話は換金しやすいのかよく盗難があるようです。カフェでテーブルの上に置いていて、気づいた時にはもう無かったとか、道路を歩きながら通話していたら近づいてきた人にいきなり奪われ逃走されたというケースまで聞きます。日本ではあり得なそうなシチュエーションですが、物は肌身離さずが基本。また、高価なものは極力人目に晒さない、携帯電話で通話相手との話に夢中になって周囲への注意が散漫になるというのも要注意です。特に人気ブランドiphoneはこちらではかなりな高級品ということもあり狙われやすい模様です。
携帯電話はローカルも盗難によくあっているそうで、うちに来てもらっている運転手宅が先日深夜に泥棒に入られしまい、携帯電話を盗まれたという事件もありました。運転手の住居事情までは把握していませんが、鍵やその他貴重品はいつもリュックに入れてそれを枕にして寝ているから大丈夫だと言っていたので、普段からそういう危機管理が必須なようです。
運転手に移動を頼っている場合、双方ともに連絡をとるのに携帯電話は必須です(携帯電話普及前はさぞ大変であったろうと想像します)。さらには時間通りに物事が進まず、面会予定の相手との連絡手段確保が重要な環境なので、データ流出の心配もさることながら(実情は、個人情報ということについてこちらの人は全く無頓着ですが。)携帯電話がなくなると相当に不便ですのでお気を付けて。
2.モール内でも起こりうる集団スリ
歩道橋はスリや強盗グループに挟み撃ちにされると逃げられないから極力使わないように、という話はよく聞きますが、モール内でも挟み撃ち被害がエスカレーターで発生するケースがあるようです!挟み撃ち以外にも要注意なのは、普通に家族連れの買い物客と思っていた一団がスリグループで、囲まれて逃げようもなく買ったばかりの品物を奪われてしまっとか、一人が話しかけてきて気を引いている間に仲間がスリを働くという手口も耳にします。
上記、携帯電話の置き引きも含め、モールの建物内に入ってしまうとなんとなくほっとしてしまう、という心理をうまくつかれている感じもします。モールなら安心とやっぱり思い込んでしまっていた私はこの話を聞いてちょっと動揺しました。モール内も危険とするとどうすればいいのやらと少々途方に暮れてしまいますが、奥まった場所にあるエスカレーターや、店員の目が届かなそうな場所を避ければ良いんでしょうか。人が多いところの方がスリ被害に遭いそうな気もしますしなんとも微妙です。
常に周囲に対し気を張っていないといけないのが、海外生活で疲れを感じる要因の一つではありますが、ともかく、自分の身は自分で守るしかありません。モール内でも油断は禁物ということは頭の片隅に置いておいてください。
3. 背後から!バイクに乗ったひったくり
来イ間もない友人が、腕にも足にも擦り傷を作って現れたのでビックリして事情を尋ねると、観光客も多く訪れるコタでバイクに乗ってやってきた人に背後からバッグを掴まれて、タスキ掛けしていたのでバッグも中身も取られなかったものの、転倒してしばし引きずられそのような傷を負ってしまったのだとのことで、さらにビックリ!
傷自体はそこまで深くは無かったとはいえ、何かしら菌が入ってしまったらしく腫れがなかなか引かないのでその日もまた病院に行って来ると言って帰っていきました。こちらで怖い破傷風の予防接種はしているとのことだったのでそこは少し安心でしたが、やはり衛生環境は良いとは言えないので、早く腫れが引くことを祈るばかり。バッグをタスキ掛けしていたのが犯人には見えなかったのでしょうか?擦り傷で済んだから良かったようなものの、様々なシュチュエーションや可能性を考えるとぞっとします。
歩道が有って無いような道路構成なので、道を歩いているとすぐ間際をひっきりなしにバイクが通って行きます。やはり、車道側にバッグを持たないというのも鉄則です。防犯面と、バイクに乗る人が多いこともあって、街行く人を見ているとリュックサック利用者が大多数を占めます。
なお、バイクの台数が半端無いので、ひったくり被害だけでなく、道路脇で車から降りようとする時も要注意!車と歩道の間を縫って走るバイクも多いので、ドアを開けたとたんバイクがやってきたりします!
4.イミグレのスタンプは日付も要チェック!
韓国からの留学生の友人が、来て早々昼までに空港に行かなきゃいけないというので、何の用事だろうかと聞いてみたら、入国時にパスポートに押される入国スタンプの日付が間違っていることにKITAS申請時に気付いて、KITASの申請は入国後7日以内に行わなければならないなのに、スタンプの日付が3ヶ月も前のもので、至急入国時の航空券半券を持って押し直してもらいに行かなければならないのだという。
出入国のスタンプがないことを理由に、裏金を要求される被害は聞いたことがあるものの、スタンプが押されていても日付が間違っていることなんてあり得るのかと唖然とします。皆様、必ず、出入国の記録となるスタンプは有無だけではなく、日付の間違いがないかどうかも、是非しっかりとご確認ください!
5.食あたりにはご注意を!
現地の道路脇では、様々な屋台が並び、たくさんの人々が集まっていると共に美味しそうな匂いが漂ってくるので、いつかこちらの食にお腹が慣れてきたらトライしてみたいなと思ったりしますよね?ところが、こちらの食に慣れたお腹なら、地元料理を食べても体調に不調をきたさなくなるのかというとどうもそうではないらしく、現地の人でもよくお腹を壊したと言っているし、ローカルの運転手が腸チフスで休んでいて、という話も何度か耳にしました。腸チフスや肝炎に関しては海外からの渡航者は予防接種をしていると思うのですが、現地ではまだまだあるのだなということを実感します。
現地の人が食べてるんだから大丈夫でしょう!というのも一理あるのですが、実際のところインドネシア人でも全てが大丈夫なわけではないのです。原因と思われることの一つとして、屋台の脇を見てみてください。食器を洗うためにバケツに水が汲み置きされています。その水で洗われた食器にて料理が出されるわけですが、そのバケツの水は頻繁に取り換えられているようには見えず使いまわしです。また、食材が見えるようにきれいに並べられていたりしますが、この熱帯の路上で冷蔵庫があるわけでもなく保存状況としてはやや心配があります。
それでもやはり現地の味を試してみようという場合には、できれば水道設備のある店舗で。もし屋台で食べる時には、なるべくにぎわっていて食材の回転がよさそうなお店を選び、食器を使わなくてよいテイクアウト(箱や袋に入れたり、バナナの葉にくるんだりして渡してくれます)にするのがよいというのが、旅慣れた知人からのアドバイスですが、体調管理は重要ですので自己責任でくれぐれもお気をつけて。
6.アリの大発生!
これだけ少々毛色が異なりますがよく耳にするのでご紹介しておきます。蟻ごときか、と些細なことのように聞こえますが、実際家に大量発生すると大きな悩みの種。家のとある箇所にどこからともなくアリが続々とやってくる。掃除をしてターゲットとなりそうな食品屑などがないはずと思ってもまったく減る気配がない。のだそうです。幸いにも私は蟻被害にはまだ遭遇していませんが、延々とアリがやってくることを想像すると落ち着きませんし、種類によっては噛まれるとものすごく痛いそうです。
そんな時にはチョークだよね。と長くこちらに住む人々が口々に言うので、いったいどんなものやらとスーパーで探してみたら、ありました。忌避剤が含まれたチョーク。アリ、さらにはゴキブリの通り道に数センチ間隔で線を引いておくだけで効果てき面なのだそうです。先日旅行先のホテルで、隣の部屋の人がアリ大発生で部屋を替えてもらうという騒ぎがあり、旅先にも携帯しておくと役立ちそうと思われる一品です。
<まとめ>
今回ご紹介の例は、新聞に出るような大事件ではありませんが、日常的に起こりうる遭遇したくない事例です。このような事態を経験してしまうと精神的にもダメージを受けますし、せっかくの滞在が嫌な思い出で占められてしまうのはとっても残念です。
アリの件はさておき、その他事態は、来てすぐの不慣れな時はもちろん、当初の警戒心も薄れてふと気持ちがゆるんできてしまう、慣れてきた頃がまた危険。慣れても変わらずここは日本とは異なる異国です。日本人は平和ボケしていると言われますが本当に、久しぶりに日本に帰ってカフェに入ると、机の上に置かれた携帯電話、あけっぱなしのバッグから顔をのぞかせている財布など、これがインドネシアだったら一瞬にしてすべて盗難にあってるなと思う状況が至る所にあります。
そして、多くの外国人が口にする日本の清潔さ。飲食物もその後の体調を気にしなければならないケースはそこまで多くはありません。そんな安全な国から来ている日本人、注意を怠らなければ未然に防げることも多々ありますし誰もが必ずしも被害にあうというわけではありませんが 、やっぱりスリなどに狙われやすいということは事実ですし、衛生環境も異なるということも常にお忘れなく。
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