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偽物か?本物か?ジャカルタ‘花’事情  by  A.K.I

2015/10/29 18:00

偽物か?本物か?ジャカルタ‘花’事情
by A.K.I

 

 インドネシアといえば、言わずと知れた常夏の国です。常夏の南国というと、色鮮やかでゴージャスな花々が咲き乱れるイメージ。いくらでも南国の花が手に入るにちがいない!と思いますよね? そう思っていた私は、日常的に南国の花々に囲まれる生活を楽しみに、ジャカルタへやってきました。

 ところが。大都会ジャカルタは、まずからしてそんな花の咲き乱れる南国の島のイメージとは程遠く、大渋滞の排気ガスで淀んだ空の下、街の中で花と言えば、街路樹として主にブーゲンビリアやプルメリアの白やピンクの花が所々に見られるくらい。考えてみれば当然のこと。東京と同じく高層ビルの立ち並ぶ首都であるジャカルタでは、やはり郊外に行かなければ自然の花々には出会えないのです。



 それならば、切り花を買ってこよう!と思ったものの、いくらでもあるだろうと安易に考えていた花屋が、来た当初どこにも見当たらず。これだけ道路脇にあれこれと屋台が出ているのだから、例えば上海の街角のように、花売りもいてもよさそうなものなのに、そんな屋台も一つも見かけません。

 いったいどこに行けば生花を入手できるのか?手に入らないとなるとますます手にしたくなる。そんな欲求を満たすべく花を探し求めているうちに見えてきた、大都会ジャカルタの‘花’事情。日本とは異なる‘花’を取り巻く環境を一挙レポートします。
 
1.造花は南国の一大文化である!



 モールで見かける最も多い花屋は、造花屋である!そして飾られている花も高確率で造花である!という衝撃的な発見。いたるところに造花。建物の中では、本物の花に出会うよりも造花との遭遇率が相当に高いです。
 大きなモールのエントランスに、巨大なブーケのディスプレー。こんな大規模にメインエントランスに飾られるのは生花であるにちがいない!と、若干の期待を込めて確認に行ってみたところ、日本的‘常識’はみごとに覆され、そこに飾られていたのもやはり造花。軽いカルチャーショックを受けます。



 ただし、造花と言えどそのボリューム感はなかなかに見事で、一瞬本物かと見まがうほど。色も形も本当に精巧にできていることに驚きます。日本で造花というと、いかにも偽物の安価なプラスチック製だったり、デコレーションとしては美しいけれど、本物と見間違うことはありえない布製のものというイメージを持っていたのに、こちらの造花は、少々ゴムのような弾力のあるなめらかな素材でできていて、しなり方がとても自然。質感に水分を含んだ生もの感があり、造花は息苦しいとの思い込みから一転、これなら部屋に飾っても素敵かもと思ってしまったくらい。ここまで徹底されると、ジャカルタでは‘造花は一大文化である’といっても過言ではないでしょう。

 ふと、ようやく、当然のことに気づきました。インドネシアは暑いのです。だから、切り花を状態よく保存しておくことはなかなか難しいのだということ。きっとその環境が、この造花文化を生み出したのでしょう。

2.モール天国ジャカルタでは、やはり生花もモールに有り



 造花に騙され続け、モールで花の売場を見つけるたびに、必ず近寄って生花かどうか触って確かめることが習慣に。特に、ローカル寄りのモールでは、造花屋はあっても生花屋が無いことが多く、花の鮮度を保つことができる冷房が良く効いた高級モールでのみ、生花を取り扱っているのだなということが分かってきました。プラザ・インドネシア、ミッド・プラザなど花屋が店舗として入っているところや、プラザ・スナヤン、スナヤン・シティー、ロッテ・ショッピング・アベニュー等、地下のスーパー付近に少々花が置かれているところがあります。
 置かれている花の種類はそれほど多くは無く、目にするのは、胡蝶蘭の鉢植えや、意外にも、菊やバラやガーベラといった日本と同じような花。無いよりいいのだけど、南国的な花を期待していると少々拍子抜けします。とはいえ、モールに行けば何でも揃う、というジャカルタ事情は生花についてもしかりでした。
 
3.花の種類は同じでも、色彩感覚は南国テイスト



 造花や、モールの花ではいまいち納得がいかず、ついに探し出した念願の路面店!そのエリアの道路沿いには、ジャカルタにこんなにも生花店があったのか!と思うくらい、花屋が軒を連ねています。

 極楽鳥花とかグロリオーサとか、ネーミングからしていかにも南国的な派手な花、もしくはジャスミンやチュベローズなど、南国の香りの強い花を期待して行った店舗に並んでいた花は…。ここでもやはり、ガーベラ、バラ、菊、カサブランカ。日本の花屋と変わらない花々。蘭の系統が日本よりは取り入られているかなというところにかろうじて南国を感じる程度。
 せっかく生花店を見つけたというのに少々がっかり。それでも、これだけたくさんの生花を目にできる場所があったということに気を取り直して、再度ぐるりとよくよく見回してみると、花の種類は同じと言えど、並んでいるのはどれもこれもくっきりとした色鮮やかな花々。淡い印象が漂う日本の花屋とは色彩感覚の違いが感じられ、ようやくそこに南国の花屋へ来た実感が伴いました。


所在地:Jalan K.H. Ahmad dahilan No.9, Karmat bela, kebayoran baru, Jakarta Selatan


所在地:Jalan Rajasa No.46, Kebayoran Baru, Jakarta Selatan

4.潔く立ち並ぶインドネシア流フラワーアレンジメント



 路面店では、暑い日射しの中、いかに花を良い状態に保つか、茎のしなだれやすい花をいかにシャキッとさせるかがポイントとでもいうかのように、切り花単体としてよりも、細工を施したたくさんのアレンジメントフラワーが店頭に並べられています。茎には針金が通され、花の首にはテープが巻かれ、曲線を生かす日本のアレンジメントのやわらかな感じとは異なり、すくっと立っている。なかなか潔くすがすがしい印象のアレンジメントです。
 写真のアレンジメントも、花の一本一本に針金とテープで細工もされていて、見るからにかなり手がかかっているのですが、少々アンティークな雰囲気の器付きでRp100,000 (約1,000円)。ボリュームたっぷりで、満足感は十分です。


 切り花として購入したデンファレは、しっかりとしている茎には補強は不要なものの、蕾にはひとつひとつ針金が巻かれ、花がすぐには落ちてしまわない工夫がされています。これで1本Rp15,000(約150円)。手間もかかっていることを考えると、やはり元が熱帯産の花ということもあり、日本では高価なイメージの蘭がお手頃価格で楽しめます。少し、思い描いた南国花生活に近づきました。

5.濃厚な花の香り漂う花市場

 
Pasar Bunga Rawa Belong 
所在地:Jalan Sulaiman No. 50 (Kebon Jeruk), Jakarta Barat

 南国感ある花を入手する最終手段は、ローカルの生花市場!柱だけの長屋的な建物に、束になった花々がバケツに入れられ、そこらじゅうに並べられています。その光景は、外国人が常用するモールとは全く異なり、良く言えば解放的、見方を変えればかなり雑然とした空間。訪れた月曜日は、閉まっている店もところどころあり、やや閑散としていたものの、通りゆく人々は顔が見えないくらいの花の束を抱えて帰っていきます。小売店の仕入れかもしれません。
 最も賑わうのは週末。土日に多く執り行われる結婚式用の花を買い求める人々で、周辺道路の渋滞も相当なものだそう(混雑時に訪れる場合には、スリには要注意!)。
 
 
  
 さすがに花市場というだけあって、街中の路面店よりは花の種類も豊富。ガーベラ・バラ・菊はもちろんのこと、カサブランカも束で、そして日本では梅雨をイメージさせ乾季には似合わない印象のアジサイ、それと同時に夏の代名詞ヒマワリ、そして辺り一面に香りを漂わせるチュベローズなどなど、幅広い花の種類に若干日本人的季節感には混乱をきたしつつも、異国の花市場感をたっぷり味わえます。
 日本の花屋より濃厚な甘い花の香りが充満する空間。ようやく見つけたチュベローズの花。何束いるの?と言われたところを申し訳なく、1束だけ。一束10本でRp25,000(約250円)はかなりお得感。月下香という和名のごとく、花瓶に挿したチュベローズの花は、太陽が傾きだすと一層香りが強くなり酔いそうなほど。一気に南国感アップです。

6.結婚式会場装飾には菊の花!



 週末花市場を賑わすというのもうなずける、ふんだんに生花が使われた結婚式会場の装飾。お祝いムードを華やかに演出していますが、多用されているのは菊の花。菊といえば、日本ではお供え用のイメージがやや強いですが、国が変わると認識は異なるようです。
 会場装飾用の花と共に飾られているパーテーションも、生花市場で売られていました。ボードをカットしたりペイントしたり、かなりの手作業で大掛かりな装飾パーツを作っている光景も、花市場の一角にある作業スペースで見られます。純粋に花だけではなく、会場装飾パーツも含めて一揃い調達するとなると、週末の市場の熱気はかなりのものであろうと想像できます。

7.インドネシア流祝花はボードがメイン





 インドネシアで、開店祝い、結婚祝いその他めでたい場所に登場する祝花とでもいうべきものがこれ。お祝いの文言が描かれた巨大なボードに花が添えられたもの。初めてこれらを目にした時、器用に発砲スチロールで立体的に作られた文字とデザインがとても新鮮で、花よりもそちらに目が釘付け。日本には無い、ボードを専門に作る職人さんたちが居るのかと興味深々だったのですが、路面店でも生花市場でもボードが広げられているスペースがあるのが見られ、ボードも含め生花屋で作られるのだということが判明。

 日本では祝花という名の通り、花をメインに、そこへ文言を書いたプレートを挿す感じなのに対し、インドネシアではボードがメインとなっているところも、熱帯の環境に適した仕様です。暑い屋外で、花の鮮度が早々に失われても、ボードがメインであれば華やかさは失われません。モールの入口等にも飾られるこれらボードをチェックしてみるのも、花だけでなく発泡スチロールの使い方や色彩が独特で、なかなか面白いです。

8.国花ジャスミンは大切な花



 お祝いに参列した結婚式では、民族衣装で着飾った新郎新婦が、とっても素敵な香りを漂わせながらジャスミンの花飾りをまとっていました。こういったジャスミンの花飾りも、花市場で一つ一つ手で蕾に糸を通して作られています。香りの良い生花で手作りされた飾りをまとうとは、とっても粋です。
 


 独立記念日を迎えようという時期にモールで見かけた伝統的なワヤン人形の展示にも、ジャスミンの花飾りが添えられていました。インドネシアの国花でもあるジャスミンの花は、結婚式だけでなくお祝いムード漂うシーンで良く用いられるようです。
 自然の生み出す心地よい香りが漂う空間はなんとも贅沢な気分。日常的には造花でも、大切な時には生花が使われる、その切り分け具合にも、日本とは少々異なる感覚があるようです。

9.神々へ捧げる花



 バリ島で日常的に、至る所で見られるバリ・ヒンドゥー教徒によるお供え物のある風景。9割がヒンドゥー教徒というバリ島とは異なり、9割をムスリムが占めるジャワ島では、このようなお供えを目にすることはほぼありませんが、市場にはお供え用と思われる花も売られていました。お祝いだけでなく、お供え物にも使われる生花。生花に対する特別感が感じられます。

 ジャスミンの花だけの袋詰めも売られていて、1袋たっぷり入ってRp20,000(約200円)。普段使いにしてしまうのは、少々申し訳ないような気持ちになってしまわなくもないですが、花を一掴みトレーに乗せて部屋に置いておくと、品のあるすがすがしい香りが満ち、南国ならではの優雅な気分を味わえます。

10.カエルからガネーシャまで、センスが光る青空園芸店



 鉢植えなどもう少々大きなものが欲しい場合には、BUNG KARNO 競技場周囲の道路沿いはじめ、園芸店とでもいった品ぞろえの、屋外販売所が車移動時にもあちこちの道路脇で目にとまります。
 木に咲く花となると、ブーゲンビリアあたりがよく並べられていますが、鉢植えの蓮やヒマワリなどが見られることもあります。全体的には、ヤシなどの熱帯の葉を茂らせる、作物としても重要な木の苗木がメインのようですが、園芸用品全般、肥料や植木鉢、レンガやタイル、はたまた庭に飾るカエルやシカやガネーシャ他不可思議な彫像など、さまざまな造園グッズが所狭しと置かれています。何かおもしろい掘り出し物が見つかるかもしれません。

11.本格派はアジア最大規模のボゴール植物園へ



 まだまだ熱帯の花に接し足りない!と思ったならば、ジャカルタから車で約1時間(渋滞が無かった場合)の郊外、アジアで最大規模と言われる植物園 Kebun Raya Bogor(ボゴール植物園)がおすすめです。
 シダ植物やヤシ類など種類ごとにエリア分けされた広い敷地内には、無造作にバナナの花がぶら下がっていたり、自然な状態で咲くさまざまな熱帯の花をみることができます。数年に一度しか花を咲かせないという巨大な花、ラフレシアやスマトラオオコンニャクなど、珍しい南国の花が見られることでも有名ですが、そうそう簡単に見られる花ではないので、花の咲く年に巡り合えたらとてもラッキー。オーキッド・ハウスでは、色・形・大きさの異なる豊富なラインナップの様々な蘭の花を楽しむことができます。

 ジャカルタ市内の淀んだ空気から抜け出し、ほんの1時間の近郊で森林浴が可能というのも嬉しいところです。植物園内をゆっくり散策するとリフレッシュ効果もなかなか、運動不足解消にも最適です。

まとめ 
 以上、ジャカルタ花事情いかがでしたか?部屋に花を飾ると気持ちがなごみます。巧妙に作られたリアルな造花も、水換えの手間も省けて一考の価値ありですが、造花の華やぎだけでは物足りない方は是非生花を!心地よい香りとみずみずしさ、蕾が開くのを待つ楽しみをももたらしてくれる生花は、やはり一味違います。渋滞でぐったりと疲れて帰ってきた部屋に、花が一輪あるだけでも癒し効果絶大です。暮しの中のちょっとしたオアシスとして、ご参考になればなによりです。
 

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