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インドネシア高速鉄道  by  SY

2015/09/23 21:38


 
時事通信フラッシュ インドネシアのダルミン・ナスティオン経済調整相は、ジャワ島高速鉄道計画を引き続き進めると述べ、先に発表した白紙化を撤回する考えを明らかにした(ジャカルタ時事)そして、同日23日付けの週刊ダイアモンドの記事
 NNA9月10日付けの政経ウオッチと、地元ジャカルタポスト18日付けの記事は、成る程と思わせる。 
 本件どんな結果になるのだろうか? まだ終わっていない。
 
 
日本が中国を撃退!インドネシア鉄道受注の逆転劇
成長戦略の柱としてインフラ輸出を掲げる日本政府は、この夏、インドネシアの高速鉄道受注をめぐり中国と激しく競い合った。終盤、中国優勢に傾いたが、結末は計画自体が白紙撤回に。その裏には、日本政府の猛烈な巻き返しがあった。(「週刊ダイヤモンド」編集部 清水量介)
 
2015年3月、突如、中国と高速鉄道建設の覚書を締結したジョコ大統領(左)と習近平国家主席。日本は猛烈な巻き返しでこの覚書を覆した Photo:AFP=時事「痛み分けのように報道されているが、インドネシアの政府関係者は陰で、“日本が勝った”と言っている」(インドネシア政府と交渉に当たった日本政府関係者)

 今年9月、インドネシア政府は、日本と中国が受注を競っていたジャカルタ~バンドン間140キロメートルを結ぶ高速鉄道計画を撤回した。
 この計画をめぐっては、日本が数年前から新幹線方式で売り込みをかけ「独壇場」とみられていた。ところが、今年3月に突如、中国が参入を表明、終盤では中国有利との見方も浮上したほどだった。

 にもかかわらず、計画自体が撤回される事態となったのは、日本側が最後の2カ月間、水面下で猛烈な反撃に出たからだ。
 そもそもこの計画は、2014年まで10年間務めたユドヨノ前大統領が進めようとしていたもの。それが、新たにジョコ大統領が就任するや事態は一変、15年1月に計画の凍結が発表された。

 ところが、である。3月にジョコ大統領が訪中した際、突然、中国と高速鉄道建設の覚書を締結してしまう。この中で中国は、インドネシアの政府保証なしで総事業費の74兆ルピア(6200億円)の全額を融資するという“破格”の条件を提案した。
 事態の急展開に焦ったのは日本の政府関係者だ。すぐさま調査に乗り出してみると、おかしな事実が判明する。
 中国側が提示した需要予測や採算面といった条件が、日本の国際協力機構(JICA)がインドネシアで実施した調査結果と比較して、少しずつ良いものとなっていたのだ。
 しかし、日本側の調査内容は、インドネシア政府にしか提出していない。「その時点で、中国は現地調査を行っておらず、まるで日本の調査結果を把握しているかのような提案だった」(政府関係者)。交渉に当たっていた政府関係者の多くは、インドネシアから中国側に漏れたのではと疑った。
 奮い立った日本勢は、ここから猛烈な反撃に転じる。日本政府関係者は、7月から数回にわたってインドネシア入りし、ジョコ大統領や政府幹部に説得を繰り返した。

 中国側が提案した内容には幾つも甘い部分があった。日本はそこを突いた。
 まずは工期だ。日本側が6年かけて21年の完成を目指すとしていたのに対し、中国側は鍬入れを15年8月末に行い、わずか3年で開通すると宣言していたのだ。5年の任期中に完成し、国民にアピールできるとあれば、大統領らの心が動いても不思議はない。
 しかし、「環境調査もせず、工事に際して何が可能かなど、現地の法律も精査していなかったのが実情だった」(日本政府関係者)。
 さらに、需要予測もでたらめだった。日本は、約2000円という運賃収入だけを想定していたが、中国は沿線開発から生じる収入を3割も含んでいたのだ。その上、着工も決まっていないのにどこに駅を造るのかを事前に地権者と話し合っていた節があった。
 意外だが、中国側が提示した建設費は日本のものより高かった。列車の気密性が高い日本方式では、擦れ違う際にガタつかない。ところが、中国の列車は気密性が低く、線路の間隔を広く取る必要がある。その分、土地の取得費や工事費が高くなってしまうのだ。だからこそ、沿線開発の収益も入れてお茶を濁したかったのだろうという見方がもっぱらだ。
 日本側は、こうしたいいかげんな予測やむちゃな工期についてインドネシア側に通告。さらに、アフターサービスの不安についても、これまでアフリカでトラブルを起こした案件などを基に解説した。

 併せて、中国は自国から労働者を連れてくるため技術移転しないことを指摘。長い目で見ればインドネシアの発展につながらないことも説いた。その上で、「民主主義国家として、こんなプロセスでよいのですか」とまくし立てたのだ。
 インドネシア政府が中国と覚書を結んだのは、日本側から良い条件を引き出すためのポーズではなく、実際に中国案採用に傾いていたという。だが、こうした交渉を経て、ついにインドネシア政府首脳も「確かに、高速で動くものを日本以外の国に任せるのは不安」と漏らすまでになっていた。
 この時点で、日本政府関係者は逆転の可能性も感じていたというが、結果的にインドネシア政府は双方とも採用せず、計画自体が白紙に戻った。
 中国の高速鉄道の源流は、日本の技術のコピーだ。その中国に負けたとあれば、日本の面目は丸つぶれだった。そういう意味では、受注こそできなかったものの、実質的には“勝った”といっても過言ではない。
 
 
 
RI may choose China bullet train
The Jakarta Post, Jakarta | September 18 2015 | 6:03 PM

The Indonesian government may name China to build Indonesia’s first high-speed train after the latter made it clear that the bullet train project would not require state funds or a government guarantee. 

State-Owned Enterprises Minister Rini Soemarno said that China had in principle agreed to carry out the high-speed train project under a business-to-business scheme with no state budget or government guarantee involved.

“It [the Chinese government] has even agreed to build the train stations and to conduct technology transfers,” she said in Beijing on Wednesday night.

Rini added that the Chinese government had agreed to jointly produce train cars not only for high-speed, but also electric and light trains, which would be developed in Indonesia. Apart from local use, the train cars could also be exported to other Asian countries so that they could generate foreign exchange for Indonesia, she said.

To support the program, China has agreed to build an aluminum plant in Indonesia, which could provide the raw materials for the production of the train cars.

President Joko “Jokowi” Widodo earlier denied reports that the government had scrapped the high-speed train project. He said that his government wanted the project construction to be carried out with no state budget.

“I’m waiting for the [project] calculations [from investors]. If it makes sense, go ahead. So, it is not that the project is canceled,” he said in Doha, Qatar, as quoted by the Cabinet Secretariat on Tuesday.

Earlier this month, Jokowi announced that his office had dropped the project because it would partly use the state budget and would require a government guarantee. Besides China, Japan also bid for the country’s first bullet train project, set to connect Jakarta and Bandung.

“We will develop a medium-speed train instead,” Jokowi said in a statement distributed by Presidential chief of staff Teten Masduki, earlier this month. “The development will not use any part of the state budget, directly or indirectly. The government will not provide any viability gap fund. The cooperation will be under a business-to-business scheme.”

Coordinating Economic Minister Darmin Nasution said recently that a bullet train was not economically viable for such a short distance of only 150 kilometers, with five to eight projected stops along the way. The train would reach a maximum speed of only 200 kilometers per hour from a potential of 300 kph.

The medium-speed train was also to be 30 to 40 percent less expensive than the high-speed train, which would cost around US$6 billion.

The announcement ended the widely publicized tug-of-war between Japan and China over the project.

Meanwhile, Rini said the government would follow up on the latest discussion with China so that a deal could be sealed and the construction could soon kick off. 

She added that her ministry had formed a consortium consisting of state-owned construction company PT Wijaya Karya (WIKA), state-owned train manufacturer PT INKA, toll operator PT Jasa Marga and plantation company PTPN VIII to run the high-speed train project.

WIKA corporate secretary Suradi told The Jakarta Post on Thursday that Rini had last contacted his firm early this month, instructing WIKA to reassess the bullet train project.

“Currently, we are conducting an internal consolidation while waiting for further government instruction,” he said.

In China, Rini also witnessed the signing of a loan commitment worth $3 billion between the China Development Bank (CDB) and state-owned lenders Bank Mandiri, Bank Rakyat Indonesia (BRI) and Bank Negara Indonesia (BNI) to finance infrastructure development in Indonesia.

The agreement allows the three banks to obtain $1 billion each for a tenure of 10 years, with 30 percent of the amount drawn down in Chinese yuan to finance infrastructure projects and trade, especially between the two countries.

At the same time, another Chinese financing giant, the Industrial and Commercial Bank of China (ICBC), signed a memorandum of understanding with the Indonesian government to provide $20 billion in loan commitments to a number of state enterprises. (prm)  
 
 
20150910 NNA政経ウオッチ
第137回 警察高官人事の裏で政権内部の争い?

インドネシアの高速鉄道事業をめぐる日本案と中国 案の対決は、最終的にジョコ・ウィドド大統領が「両 案不採用」という結果を出して終わった。ただ、その 陰で、汚職疑惑をめぐって政権内部に対立が起こって いる様子がうかがえる。 数日前、国家警察ブディ・ワセソ犯罪捜査局長を国 家麻薬取締庁長官へ異動する人事が発表された。ブデ ィ・ワセソ氏はかつて、警察と汚職撲滅委員会(KP K)が対立した際、KPKに対して最も厳しく当たっ た人物で、闘争民主党(PDIP)のメガワティ党首 に近いブディ・グナワン警察副長官の側近と見られて きた。 そのブディ・ワセソ氏が直近で捜査に着手した対象 が、ジャカルタ北部のタンジュンプリオク港を管轄す る国営プラブハン・インドネシア(ぺリンド)2であ る。ペリンド2はジャカルタ・コンテナターミナル運 営を香港港湾運営大手ハチソン・ポート・ホールディ ングス(HPH)の子会社と契約しているが、同社と の 2015 年の契約額が 1999 年よりも安価であることが 疑問視されるほか、中国製クレーンや船舶シミュレー ターの購入に関する汚職疑惑が取り沙汰されている。 ブディ・ワセソ氏の標的はペリンド2のリノ社長であ る。 ブディ・ワセソ氏の動きの背後には、マフィア撲滅 を図りたいジョコ大統領からの特別の指示があるとい う見方があり、新任のリザル・ラムリ調整相(海事) がかき回し役を果たし始めている。こうした動きに対して、猛然と反発したのがリニ国営企業相である。 そして、ユスフ・カラ副大統領も、警察に対してペ リンド2の捜査を行わないよう要請した。ブディ・ワ セソ氏の人事異動は、ペリンド2への捜査をやめさせ る目的があったとも見られている。 そういえば、高速鉄道の中国案を強力に推したのも リニ国営企業相で、不採用になっても国営企業4社を 中国側と組ませる形ですでに中速鉄道計画採択へ向け て動いている。中国をめぐる利権では、リニ国営企業 相とPDIPが激しい対立関係にあり、ペリンド2の 汚職疑惑などへの追及もまた、表向きの汚職撲滅の掛 け声とは裏腹に、政権内部の利権獲得競争の一部にす ぎない可能性がある。
<筆者紹介>
松井和久 インドネシアの政治経済、地域開発・地方分権化、 中小企業振興の専門家。2015 年3月までスラバヤを 拠点に、ジェトロの中小企業海外展開現地支援プラ ットフォーム・コーディネーター、及び低所得消費 者層を対象とするBOP(ベース・オブ・ピラミッ ド)ビジネスのコーディネーターとして活動してきた。

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